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路上ライブでCD破壊した男性、「法的に正しい」と主張 そもそも法律って?(THE PAGE)

(公開: 2019年02月02日)

[ 元の記事 ]
出典元: 写真:アフロ

路上ライブを行っている女性シンガーの目の前で、購入したCDを踏みつける男性がSNS上で話題になっています。この男性は、全身ぼかしと声を変えた形でテレビの情報番組のインタビューに応じ「(違法な)路上ライブを撲滅するためにやっている」「僕の中では正義感で動いている」と発言しています。

 当然この動画に対しては批判が殺到していますが、動画を撮影していたと思われる人物は、路上ライブを取り締まれない日本の法律がおかしいとツイッターで反論しており、法的に正しいと主張しているようです。これについてはどう考えればよいのでしょうか。

 日本では、法律や憲法の条文に書いてあることが絶対に正しいという考えを持つ人がかなりの数に上りますが、これは先進的な民主国家の中においては、少し独特な価値観といってよいでしょう。諸外国では法律の条文そのものよりも、法律が出来上がった背景や基本的な価値観が重視される傾向が顕著です。

 事前許可を得ていない路上ライブは、厳密に言えば、道路交通法に違反する行為ということになります。しかし、実際にこうした人を摘発すべきなのかというのはまた別問題でしょう。公共の場で音楽活動を行うことについては広く社会的に認知されていることに加え、そもそも道交法が何を目的に作られたのかという法の本質的な部分が重要となってきます。法律というのは、細かい条文以前の問題として、その法律が出来上がっている基本的な価値観というものがあるからです。

 道交法は「交通の安全と円滑を図り、道路の交通に起因する障害の防止に資する」ことを目的としています。つまり、事前許可があったのか、なかったのかではなく、具体的に周辺の安全が脅かされているのか、円滑な交通が阻害されているのかという部分がもっとも重要な判断基準となります。

 今回の路上ライブが具体的にどの程度、円滑で安全な交通を阻害していたのかは分かりませんが、常識で考えれば、何も問題はなかったと解釈するのが自然ですし、一部のミュージシャンを除けば、ほとんどが問題なくライブを行っているはずです。そうであればこそ、警察もむやみに路上ライブを摘発することはありません。

 制定された法律の条文に書いてあれば絶対的に正しいという考え方は「形式的法治主義」と呼ばれ、現代民主主義にはそぐわないものというのが一般的な解釈です。もっとも極端な例で言えば、ナチスドイツが制定した全権委任法は、民主主義自体を否定していますから、民主国家の法律としては、そもそも無効と判断されます。

 日本では近年、違法かどうかという話がネットを中心によく話題となりますが、技術が進歩する現代社会においては、法律が状況を追認することはよくあるケースです。条文だけにこだわって違法かどうかを断定するのではなく、その法律がなぜ存在しているのかという、根本的な部分について議論した方がずっと建設的でしょう。

(The Capital Tribune Japan)