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家族に暴力をふるうDV加害者が、心の奥底に隠している「恥辱」とは(週刊女性PRIME)

(公開: 2019年02月19日)

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出典元: ※写真はイメージです

多くの児童虐待事件を取材し、『児童虐待から考える 社会は家族に何を強いてきたか』(朝日新聞出版)などの著書があるルポライター・杉山春さんが、カナダで行われているDV加害者の更生プログラムを取材して見えてきたものとは──。

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 栗原心愛さん(10)が、千葉県野田市の自宅アパートの浴室で、父親の勇一郎容疑者に暴行を受けて亡くなった事件。昨年3月に東京都目黒区で亡くなった船戸結愛さん(5)の事件に重なる。

 どちらの父親も、妻の出身地で再婚し(野田市の場合は同じ妻との再婚)、妻子とともに新たな生活を始めた。間もなく家族を激しくコントロールし、DVが始まり、子どもに暴力を振るった。行政や司法、公的機関の対応が始まると、遠距離を移動。その結果、妻は地縁血縁から引き離された。孤立が深まる。家族の密室化が進む。父親の示す歪んだ価値観が絶対化し、妻は子どもを守ることができない。

 子どもが学校などの公的な機関から姿を消してから、亡くなるまでどちらも約1か月。この間、父親のコントロール=暴力は先鋭化していったのではないか。食事を与えられていなかったとの報道もある。ネグレクトも起きていたのだ。孤立した親はもはや、家の外に怒りをぶつける先も、相談するところも、逃げ出す場所もない。行き詰まったことへの怒りを子どもにぶつけることしかできない。それを一身に受けて子どもは亡くなった。

 どちらの父親も職場での評価はそれなりに高い。だが、彼らの行動を見ると、そのアイデンティティは、仕事にはなく、家族に委ねられているかのようだ。

 それでも、私には疑問が浮かぶ。この2人の父親はそれぞれ子どもを殺したかったのだろうか。

 過去にネグレクト死事件を取材して知ったのは、子どもを亡くしてしまうほど追い詰められる親たちは皆、社会に助けを求めて働きかける力を失っていたということだ。では、子どもに暴力を振るう親は、社会に助けを求める道筋をもっていたのだろうか。