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「耳障り」から「耳触り」に?いつの時代も言われる「日本語の乱れ」 正しい日本語とは(THE PAGE)

(公開: 2019年04月23日)

[ 元の記事 ]
出典元: GYRO PHOTOGRAPHY/アフロ

いつの時代も「最近の日本語が乱れている」という批判を耳にしますが、一方で、言葉というのは常に変化するものでもあります。正しい日本語についてどう考えればよいのでしょうか。

 文部科学省では毎年、国語に関する世論調査を行っており、その中には、ある慣用句がどのような意味で使われているのかという項目があります。例えば「琴線に触れる」というのは、感動や共鳴を与えるという意味ですが、この言葉について「怒りを買う」という意味で使っている人は31.2%となっており、本来の意味で使っている人(38.8%)と拮抗しています。

 また「少しずつ変えていくこと」という意味の「なし崩し」という言葉については「なかったことにする」という意味で使っている人が65.6%に達します。本来の意味で使っている人はわずか19.5%でした。

 上記の二つについては、言葉を音として理解するのか、意味として理解するのかという部分が大きいと思われます。琴は一般的には優雅で感動的なイメージですから、琴の糸に触ることが怒りには直結しませんが、音としては固い印象で金属や緊張などが思い浮かび、これが怒りを買うという話につながったのかもしれません。あるいは、「逆鱗に触れる」という言葉と似ているため、勘違いしているとも考えられます。なし崩しについては、「なし」という言葉の音が「なかったこと」につながっている可能性があるでしょう。

 一方、「名前負け」については83.4%の人が、名前だけが立派で中身が追いついていないという本来の意味で使っています。これに対して「役不足」については、本人の力量に対して役目が軽すぎるという本来の意味で使っている人は27.6%しかおらず、62.8%の人が「力量がない」という逆の意味で使っていました。会社で管理職などに就任する人が挨拶する際、謙遜の意味で「役不足ですが」と挨拶するケースは日常的ですから、もはや意味は逆転したのかもしれません。

 確実に意味が変わってしまった言葉の代表例はやはり「耳障り」でしょう。耳に障る(差し支える、さえぎられる)ですから、これは不快でうるさく感じるという意味になりますが、雑誌の記事や著名な書き手の文章の中でも「耳触りがよい」(心地が良い)というニュアンスで使われるケースが増えているので、本来の「耳障り」はすでに古語になりつつあるといえそうです。

 正しい日本語を使うことは重要ですが、言葉は変化していくので、あまり神経質になるのも考えものです。戦前の小説などを読むと「わくわく」という言葉の意味は、不安だという意味でも使われていますが、今「わくわく」という言葉をネガティブに使う人はいないでしょう。ただ、表意文字である漢字が使われている言葉については少し注意した方がよいかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)